居宅サービス計画書(ケアプラン)の第1表から第7表までは、ケアマネジャーの業務の中核をなす書類です。全国には191,892件を超える介護サービス事業所があり、ケアマネはその中から利用者にとって最適な組み合わせを選び、計画書に落とし込みます。
本記事では、厚生労働省の標準様式に沿って、第1表〜第7表それぞれの記載項目・書き方のポイント・記入例・よくあるミスを実務目線でまとめました。記事末尾から各表のひな形PDFをダウンロードできます。
ケアプラン(居宅サービス計画書)とは
居宅サービス計画書は、介護保険法に基づき、居宅介護支援事業所のケアマネジャーが作成する公式書類です。利用者の自立支援に資するよう、課題分析(アセスメント)の結果を踏まえて、利用するサービスの種類・回数・目標を明文化します。
標準様式は厚生労働省が「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年老企第29号、令和3年改正)で定めており、第1表から第7表までで構成されます。保険者や事業所によって若干の書式差はありますが、記載項目は共通です。
第1表〜第7表の全体像
- 第1表:居宅サービス計画書(1) — 利用者・家族の意向、総合的な援助の方針
- 第2表:居宅サービス計画書(2) — 生活全般の解決すべき課題、目標、サービス内容
- 第3表:週間サービス計画表 — 1週間の具体的なサービス配置
- 第4表:サービス担当者会議の要点 — 担当者会議の議事・結論
- 第5表:居宅介護支援経過 — 支援経過記録(日々の記録)
- 第6表:サービス利用票 — 月単位のサービス利用予定・実績
- 第7表:サービス利用票別表 — 給付費の算定根拠
第1表〜第5表は「計画・記録」、第6表〜第7表は「給付管理」に分類されます。
第1表:利用者及び家族の生活に対する意向
第1表は、ケアプラン全体の「顔」にあたる書類です。保険者や地域包括支援センターからの実地指導でも最もチェックされる表のひとつです。
記載項目
- 利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
- 介護認定審査会の意見及びサービスの種類の指定
- 総合的な援助の方針
- 生活援助中心型の算定理由(該当する場合)
書き方のポイント
「利用者及び家族の生活に対する意向」の欄は、利用者本人と家族それぞれの言葉を分けて記載します。主語を明確にし、可能な限り本人の発言をそのまま引用する形が望ましいとされています。
悪い例:「本人・家族ともに自宅での生活継続を希望している」
良い例:「本人:『できる限り自分の家で暮らしたい。風呂にゆっくり入りたい』/長女:『母が転ばないか心配。週に数回は誰かに見てもらえると安心』」
「総合的な援助の方針」は、チーム全体の共通目標として機能する部分です。抽象的な理念ではなく、「在宅生活を継続するために、転倒予防と入浴の安全確保を最優先とする」のように、具体的な方向性を示します。
よくあるミス
- 本人・家族の意向が同じ文章にまとめられており、誰の発言か分からない
- 「現状維持」「自立支援」など抽象的な言葉で終わっている
- 援助の方針が第2表の課題と連動していない
第2表:生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
第2表はケアプランの実質的な本体です。課題(ニーズ)・目標(長期・短期)・援助内容が連動する構造になっています。
記載項目
- 生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
- 目標(長期目標・短期目標)
- 援助内容(サービス内容、サービス種別、頻度、期間、担当者)
書き方のポイント
課題は「〜できない」という否定形ではなく、「〜したい」「〜できるようになりたい」という本人の意欲を軸にした肯定形で書くのが原則です。これは課題分析標準項目の趣旨に沿った書き方で、自立支援型ケアプランの基本とされています。
悪い例:「入浴ができない」
良い例:「週2回、自宅の浴槽で安全に入浴したい」
長期目標は6か月〜1年、短期目標は3か月程度が目安です。目標には必ず達成可能な具体的な状態を記述します。「意欲を持つ」「安心して暮らす」のような測定不能な表現は避けます。
援助内容の「サービス種別」欄には、訪問介護・通所介護などのサービス名を記載し、担当者欄には事業所名を書きます。頻度は「週2回」「月4回」のように数値で示します。
よくあるミス
- 課題と目標の連動が弱い(課題に対する目標になっていない)
- 長期目標と短期目標が同じ内容
- サービス種別と担当事業所の対応がずれている
第3表:週間サービス計画表
第3表は、1週間のサービス利用を時間軸で可視化する表です。利用者・家族・担当者が一目でスケジュールを把握できるよう、視覚的に分かりやすく作成します。
記載項目
- 月曜〜日曜の時間帯別サービス配置
- 主な日常生活上の活動
- 週単位以外のサービス
書き方のポイント
時間軸は6時〜24時で設定されているのが標準です。起床・食事・就寝など日常生活の基本動作と、訪問介護・通所介護などのサービスを同じ表に配置することで、生活リズムとサービスの整合性を確認できます。
「週単位以外のサービス」欄には、福祉用具貸与、住宅改修、訪問看護(月2回など)のように、毎週同じ時間に発生しないサービスを記載します。
よくあるミス
- サービスの時間帯が第6表(サービス利用票)と一致していない
- 日常生活の活動が記載されておらず、サービスのみの表になっている
第4表:サービス担当者会議の要点
サービス担当者会議(いわゆる「担会」)の議事をまとめる書類です。介護保険法上、ケアプラン作成時および変更時には原則として担当者会議の開催が義務付けられており、第4表はその証拠書類としても機能します。
記載項目
- 開催日・開催場所・開催時間
- 会議出席者(職種、氏名、所属)
- 検討した項目
- 検討内容
- 結論
- 残された課題(次回の開催時期)
書き方のポイント
「検討した項目」は第2表のニーズや目標に対応させて記載します。「検討内容」は発言者ごとに記録するのが理想ですが、要点を簡潔にまとめる形でも構いません。
「結論」欄には、会議で合意された事項を明確に書きます。「継続して様子を見る」のような曖昧な結論ではなく、「次回モニタリングは〇月〇日、短期目標の達成度を再評価する」のように具体的に記録します。
やむを得ない理由で担当者会議を開催できず、照会(文書やメール等)で対応した場合は、その理由と照会の経過を第5表(支援経過)にも記載します。
よくあるミス
- 出席者の職種・所属の記載漏れ
- 検討内容と結論が連動していない
- 照会で対応した場合の理由が記載されていない
第5表:居宅介護支援経過
第5表は日々の支援経過を時系列で記録する書類で、監査・実地指導で必ず確認される重要書類です。
記載項目
- 年月日
- 内容(支援の経過、利用者・家族・関係機関とのやり取り)
書き方のポイント
記録は事実ベースで、客観的に書くのが原則です。ケアマネの主観や解釈は「〜と思われる」「〜の様子」のように明示します。
重要なのは「5W1H」の原則です。いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように行ったかを記録します。電話連絡・訪問・事業所との調整など、利用者に関わる全ての動きを記録対象とします。
モニタリング訪問は原則として月1回以上の実施が義務付けられており、第5表にその実施記録を残す必要があります。訪問日・面談相手・目標の達成状況・変更の必要性の有無を記載します。
よくあるミス
- 事実と解釈が混在している
- モニタリング訪問の記録が簡略すぎる(「異常なし」だけなど)
- 電話連絡や事業所との調整の記録が漏れている
第6表:サービス利用票
第6表は、月単位のサービス利用予定と実績を記録する表で、給付管理の基礎資料です。翌月10日までに国保連合会へ給付管理票と併せて提出します。
記載項目
- 被保険者情報(氏名、被保険者番号、生年月日)
- 要介護状態区分、支給限度基準額
- サービス提供事業所ごとの予定・実績
- 利用日・回数
書き方のポイント
第3表(週間サービス計画表)と整合性を取ることが最も重要です。週間計画で「月・水・金の週3回」と記載したサービスが、第6表で「月4回」になっていると整合性エラーとなります。
月の途中で区分変更や事業所変更があった場合は、変更前後で行を分けて記載します。
よくあるミス
- 第3表との整合性が取れていない
- 区分変更の反映漏れ
第7表:サービス利用票別表
第7表は第6表に対応する給付費算定の別表で、単位数・金額・負担額を記載します。
記載項目
- サービス種類ごとの単位数
- 地域区分単価
- 費用総額
- 保険給付額
- 利用者負担額
- 区分支給限度基準額を超える部分
書き方のポイント
単位数計算は介護給付費算定の告示に従います。ケアプラン作成ソフト(ほのぼの、ファーストケア、ワイズマン等)を使えば自動計算されるため、手計算の機会は減っていますが、エラーが出たときに原因を特定するため、算定根拠を理解しておくことが重要です。
区分支給限度基準額を超える部分は全額自己負担となるため、利用者への説明とサインも忘れずに記録します。
よくあるミス
- 地域区分単価の誤り
- 区分支給限度基準額超過分の自己負担説明が第5表に記載されていない
第1表〜第7表に共通する注意点
整合性の確保
各表はそれぞれ独立しているのではなく、連動して1つのケアプランを構成します。第1表の援助方針→第2表の課題・目標→第3表の週間配置→第6表・第7表の給付管理、という流れで整合性を取ります。
利用者の同意
完成したケアプランは利用者(または家族)の同意を得てから交付します。同意の事実は第5表に記録するとともに、同意欄への署名をもらいます。令和3年度以降、押印は不要となっています。
保存期間
居宅介護支援経過を含むケアプラン関連書類は、居宅介護支援完結の日から2年間の保存が義務付けられています(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準第29条第2項)。実地指導では過去2年分の書類提示を求められることが多いため、電子保存・紙保存いずれの場合も、すぐに取り出せる状態で管理します。
よくある実地指導での指摘事例
保険者による実地指導で頻出する指摘事項をまとめました。
- アセスメント(課題分析標準項目23項目)の記載漏れ
- 担当者会議の開催記録が不十分(照会対応の理由未記載含む)
- モニタリング記録の簡略化(「問題なし」のみ等)
- サービス内容変更時のプラン見直しと同意取得の記録漏れ
- 区分変更時のプラン作り直しが行われていない
- 軽微な変更に該当しない変更を軽微な変更として処理している
指摘事例の多くは「書式上の不備」ではなく「プロセスの記録漏れ」に起因します。日々の業務の中で第5表(支援経過)にこまめに記録しておくことが、実地指導への最大の備えとなります。
ケアプラン標準様式について
居宅サービス計画書第1表〜第7表の標準様式は、厚生労働省が公式に公開しています。記載要領(書き方の解説)も含まれており、実務上はこちらを参照するのが最も確実です。
- 居宅サービス計画書標準様式及び記載要領(PDF)- 厚生労働省(第1表〜第7表の様式と記載要領が1ファイルにまとまっています)
- 介護サービス計画(ケアプラン)について(PDF)- 厚生労働省(各表の様式参考資料)
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- アセスメントシート(課題分析標準項目23)の書き方と記入例
- サービス担当者会議の進め方と議事録テンプレート
- モニタリング記録の書き方とテンプレート
- 居宅サービス計画書の作成手順と注意点
出典・参考
厚生労働省「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年老企第29号、令和3年3月改正)
厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」