特養に入りたいと思っても、申し込んですぐに入れるわけではありません。申し込みから入居までには複数のステップがあり、地域によっては数ヶ月〜1年以上かかることもあります。
「何をどの順番でやればいいか」を事前に把握しておくだけで、手続きの不安はかなり減ります。入所申し込みから入居までの流れを、ステップごとに解説します。
入居までの全体像 — 6つのステップ
| ステップ | 内容 | 所要期間の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 要介護認定を受ける | 申請から約30日 |
| 2 | 施設を探す・見学する | 1〜4週間 |
| 3 | 入所申し込みをする | 書類準備に数日 |
| 4 | 入所判定会議を待つ | 数週間〜数ヶ月 |
| 5 | 入所の連絡・面談 | 連絡後1〜2週間 |
| 6 | 契約・入居 | 1〜2週間 |
ステップ1 — 要介護認定を受ける
特養に入所できるのは原則として要介護3以上。まだ認定を受けていない場合は、市区町村の介護保険窓口または地域包括支援センターに申請します。申請から認定結果が出るまで約30日。主治医の意見書と、認定調査員の訪問調査をもとに介護度が決まります。
すでに要介護3以上の認定を受けている方は、このステップは不要です。要介護1〜2の方でも、認知症や虐待などの特例要件に該当すれば申し込みできるケースがあります。
ステップ2 — 施設を探す・見学する
全国の特養は11,064施設(特養8,525+地域密着型2,539)。都道府県別では東京都625施設、大阪府581施設、千葉県552施設が上位です。
施設選びのポイントは「場所」と「居室タイプ」。家族が面会に通いやすい距離にあるか、多床室(相部屋)かユニット型個室かで月額費用が4万〜5万円変わります。候補は3施設以上をリストアップし、可能なかぎり見学してください。
出典: 厚生労働省オープンデータ(2025年12月末時点)を介護施設ナビが集計
ステップ3 — 入所申し込みをする
申し込みは施設に直接行います。必要な書類は施設によって異なりますが、おもに以下のものです。
入所申込書(施設所定の書式)、介護保険被保険者証のコピー、主治医の診療情報提供書(健康状態や医療処置の内容)。施設によっては「入所申込書」をウェブサイトからダウンロードできるところもあります。
複数施設に同時に申し込むことは可能です。待機期間が長い地域では、3〜5施設に並行して申し込むのが一般的です。ケアマネジャーに相談すれば、書類の準備や施設選びを手伝ってくれます。
ステップ4 — 入所判定会議を待つ
申し込みをしたら、すぐに入所できるわけではありません。各施設では定期的に入所判定会議(入所検討委員会)を開催し、申込者の中から入所の優先順位を決めます。
優先度を決める基準は自治体や施設によって異なりますが、一般的には以下の要素が考慮されます。要介護度が高い方、在宅での介護が困難な方(独居、老老介護など)、待機期間が長い方、認知症により日常生活に支障がある方——こうした条件に多く当てはまるほど、優先度が上がります。
待機期間は地域差が大きく、地方では数ヶ月で入所できることもあれば、東京都23区では1年以上待つケースもあります。
ステップ5 — 入所の連絡・面談
空きが出て入所の順番が回ってくると、施設から連絡があります。その後、施設のスタッフが本人の状態を確認するための面談(アセスメント)を行います。現在の介護状況、持病や服薬の状況、食事形態の希望、生活上の留意点などを聞き取られます。
面談の結果、受け入れが難しいと判断されるケースもあります。たとえば、施設の医療体制では対応できない医療処置が必要な場合や、他の入居者への暴力リスクが高い場合など。断られた場合は、ケアマネジャーと相談して別の施設を検討します。
ステップ6 — 契約・入居
面談を経て受け入れが決まると、契約手続きに入ります。契約書と重要事項説明書の内容を確認し、署名・捺印。入居日を決め、必要な持ち物(衣類、日用品等)を準備します。
入居後しばらくは環境の変化で体調を崩したり、不安になる方もいます。施設のスタッフとこまめに連絡を取り、本人の様子を把握しておくと安心です。
待機期間を短くするコツ
複数施設に同時申し込みする。「第一志望の施設だけに申し込んで待つ」のはリスクが高い。3〜5施設に並行して申し込み、最も早く空きが出た施設に入所する方法が現実的です。
地域密着型特養も視野に入れる。全国に2,539施設ある地域密着型特養は、定員29名以下と小規模ですが、大規模特養より待機者が少ない傾向があります。
特養待ちの間はショートステイや老健を活用する。入所待ちの間、自宅での介護が限界を迎えそうな場合は、ショートステイ(全国6,208施設)や老健(全国4,116施設)を一時的に利用する方法があります。
まとめ — 早めの行動が待機期間を縮める
特養は申し込みから入居まで時間がかかります。「まだ早いかな」と思っても、申し込みだけは早めにしておくのが得策です。申し込み自体に費用はかかりません。