アセスメントシート(課題分析標準項目23)の書き方と記入例【PDF】

アセスメント(課題分析)は、ケアプラン作成の出発点であり、ケアマネジメントの質を左右する最も重要な工程です。厚生労働省は「課題分析標準項目」として23項目を定めており、どのアセスメントシートを使う場合でも、この23項目を網羅することが求められます。全国には191,892件を超える介護サービス事業所があり、利用者に合ったサービスを選ぶためには、まず利用者の状態を正確に把握する必要があります。

本記事では、課題分析標準項目23項目の内容・記入のポイント・記入例を実務目線で解説します。記事末尾からアセスメントシートのPDFをダウンロードできます。

課題分析標準項目とは

課題分析標準項目は、厚生労働省が「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年老企第29号、令和3年3月改正)で示した、アセスメントで把握すべき23の項目です。

法的位置づけ

指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準第13条第7号に、次のように定められています。

介護支援専門員は、居宅サービス計画の作成に当たっては、適切な方法により、利用者について、その有する能力、既に提供を受けている指定居宅サービス等のその置かれている環境等の評価を通じて利用者が現に抱える問題点を明らかにし、利用者が自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題を把握しなければならない。

この「適切な方法」としてケアマネジャーが用いるのがアセスメントシートであり、そのシートには課題分析標準項目23項目が含まれている必要があります。

標準項目を満たせば様式は自由

アセスメントシートには、包括的自立支援プログラム、MDS-HC方式、R4システム、居宅サービス計画ガイドライン方式(全社協方式)など複数の様式があります。どの様式を使っても構いませんが、課題分析標準項目23項目を網羅していることが条件です。

課題分析標準項目23項目の全体像

23項目は「基本情報に関する項目(9項目)」と「課題分析(アセスメント)に関する項目(14項目)」に分かれます。

基本情報に関する項目(1〜9)

  1. 基本情報(受付、利用者等基本情報)
  2. これまでの生活と現在の状況
  3. 利用者の社会保障制度の利用情報
  4. 現在利用している支援や社会資源の状況
  5. 日常生活自立度(障害)
  6. 日常生活自立度(認知症)
  7. 主訴・意向
  8. 認定情報
  9. 今回のアセスメントの理由

課題分析に関する項目(10〜23)

  1. 健康状態
  2. ADL(日常生活動作)
  3. IADL(手段的日常生活動作)
  4. 認知機能や判断能力
  5. コミュニケーションにおける理解と表出の状況
  6. 生活リズム
  7. 排泄の状況
  8. 清潔の保持に関する状況
  9. 口腔内の状況
  10. 食事摂取の状況
  11. 社会との関わり
  12. 家族等の状況
  13. 居住環境
  14. その他留意すべき事項・状況

基本情報に関する項目の書き方

1. 基本情報

利用者氏名、生年月日、住所、連絡先、家族構成、緊急連絡先などの基本情報を記載します。

記入のポイント:

  • 緊急連絡先は続柄と電話番号を必ず記載
  • 家族構成は同居・別居を明確に
  • キーパーソンが誰か分かるようにする

2. これまでの生活と現在の状況

生活歴・職歴・趣味・価値観など、利用者の人となりが分かる情報を記載します。

記入のポイント:

  • 成育歴、結婚、子育て、仕事、退職後の生活を時系列で
  • 本人の性格や大切にしてきたことを把握
  • 自立支援の手がかりになる情報(昔の趣味など)を拾う

3. 利用者の社会保障制度の利用情報

介護保険以外に利用している制度を記載します。

記入例:

  • 後期高齢者医療制度、身体障害者手帳2級
  • 生活保護受給、障害年金受給
  • 医療費助成制度の利用状況

4. 現在利用している支援や社会資源の状況

フォーマル・インフォーマルを問わず、利用者を支えているすべてのリソースを記載します。

記入例:

  • 通所介護(週2回)、訪問看護(月2回)
  • 町内会のサロン参加(月1回)
  • 近隣住民による見守り、配食サービス

5〜6. 日常生活自立度

障害と認知症それぞれの自立度を、認定調査票の区分に基づいて記載します。

  • 障害高齢者の日常生活自立度:自立、J1、J2、A1、A2、B1、B2、C1、C2
  • 認知症高齢者の日常生活自立度:自立、I、IIa、IIb、IIIa、IIIb、IV、M

7. 主訴・意向

本人・家族それぞれの希望を、できる限り発言のまま記録します。

記入例:

  • 本人:「トイレくらいは自分で行きたい。お風呂にもゆっくり入りたい」
  • 長女:「母が転ばないか心配。週に何回か誰かに来てもらえるとありがたい」

8. 認定情報

要介護度、認定期間、区分支給限度基準額、審査会の意見などを記載します。

9. 今回のアセスメントの理由

なぜ今アセスメントを実施しているのかを明記します。

記入例:

  • 新規申請のため初回アセスメント
  • 要介護認定の更新に伴う再アセスメント
  • 状態変化(退院、転倒、認知症の進行など)により再アセスメント

課題分析に関する項目の書き方

10. 健康状態

既往歴、現病歴、服薬状況、医療機関との関わりを記載します。

記入のポイント:

  • 主治医名・医療機関名・受診頻度
  • 服薬内容(一包化の有無、飲み忘れの頻度)
  • 褥瘡、痛み、呼吸困難などの身体症状

11. ADL(日常生活動作)

食事、入浴、排泄、移動、更衣、整容などの基本動作について、自立・一部介助・全介助の別を記載します。

記入のポイント:

  • 「できるADL」と「しているADL」の差に注目
  • 介助が必要な場面を具体的に(「入浴時の洗髪のみ介助」など)

12. IADL(手段的日常生活動作)

買い物、調理、掃除、洗濯、金銭管理、服薬管理、交通機関の利用などを記載します。

記入のポイント:

  • 現在していることと過去していたことの差
  • 誰がそれを代行しているのか

13. 認知機能や判断能力

記憶力、見当識、判断力、実行機能について記載します。HDS-R、MMSEなどの検査結果があれば併記します。

記入のポイント:

  • 日常会話から見える認知機能
  • 季節や日付の認識
  • 金銭管理の判断能力

14. コミュニケーションにおける理解と表出の状況

話すこと・聞くこと・理解することの能力を記載します。

記入のポイント:

  • 難聴の有無と補聴器の使用
  • 構音障害、失語症
  • 視力、眼鏡の使用
  • 母語、方言

15. 生活リズム

起床・就寝時間、食事時間、日中の活動、夜間の様子を記載します。

記入のポイント:

  • 昼夜逆転の有無
  • 不眠の訴え
  • 日中の離床時間

16. 排泄の状況

排尿・排便の頻度、方法(トイレ・ポータブル・おむつ)、失禁の状況を記載します。

記入のポイント:

  • 夜間頻尿の有無
  • 便秘・下痢の頻度
  • おむつ使用の場合、種類とサイズ

17. 清潔の保持に関する状況

入浴、洗髪、着替え、洗面、整髪、爪切りなど清潔行為の状況を記載します。

記入のポイント:

  • 入浴の頻度と方法
  • 皮膚の状態、発赤や乾燥の有無
  • 本人の清潔への関心度

18. 口腔内の状況

歯の状態、義歯、嚥下機能、口腔ケアの状況を記載します。

記入のポイント:

  • 義歯の有無と適合状態
  • むせやすさ、誤嚥のリスク
  • 歯科受診の頻度

19. 食事摂取の状況

食事の量、内容、形態、水分摂取、食欲を記載します。

記入のポイント:

  • 食形態(常食・軟菜・きざみ・ペースト・ゼリー)
  • 水分量の把握
  • 食事の自立度と介助の必要性
  • アレルギーや禁忌食品

20. 社会との関わり

家族・友人・地域との交流、外出頻度、趣味活動を記載します。

記入のポイント:

  • 閉じこもり傾向の有無
  • 社会的孤立のリスク
  • 利用できる地域資源

21. 家族等の状況

同居家族の状況、主介護者の心身の状態、介護力、介護負担を記載します。

記入のポイント:

  • 主介護者の年齢・健康状態・就労状況
  • 家族関係の質
  • 介護負担の自覚症状(疲労、不眠、抑うつ)
  • 虐待のリスク評価

22. 居住環境

住まいの構造、段差、手すり、トイレ・浴室の環境、近隣環境を記載します。

記入のポイント:

  • 段差・手すり・滑りやすい床の有無
  • トイレ・浴室のバリア
  • 住宅改修や福祉用具の必要性
  • 自宅周辺の環境(坂、買い物先までの距離)

23. その他留意すべき事項・状況

これまでの項目でカバーしきれない情報(経済状況、ペット、宗教、文化的背景など)を記載します。

アセスメントの実施方法と注意点

初回アセスメントは必ず利用者宅で

初回アセスメントは、原則として利用者の居宅を訪問して実施します。面接場所が自宅であることには意味があり、居住環境や生活の実態を直接観察できるためです。

情報源を明示する

アセスメントの情報は、本人・家族・主治医・既存サービス事業所など複数の情報源から集めます。誰から聞いた情報かが分かるように記録します。

定期的な再アセスメント

アセスメントは1回で終わるものではなく、少なくとも要介護認定の更新時には再実施します。状態変化があった場合は随時実施します。

課題の抽出

23項目の情報を集めたら、そこから生活全般の解決すべき課題(ニーズ)を抽出します。課題は第2表(居宅サービス計画書(2))に落とし込まれます。課題抽出が不十分だとケアプラン全体の精度が下がるため、アセスメントは丁寧に行います。

実地指導での頻出指摘

アセスメント関連で実地指導を受けやすいポイントです。

  • 課題分析標準項目23項目の一部が記載されていない
  • 初回アセスメント時に居宅訪問した記録がない
  • 情報源(本人、家族、主治医など)が明示されていない
  • 要介護認定更新時に再アセスメントを実施した記録がない
  • アセスメントとケアプランの課題が連動していない

アセスメント様式について

アセスメントシートは様式が自由なため、事業所ごとに独自のシートを使うケースもあります。全国社会福祉協議会が公開している「居宅サービス計画ガイドライン」のアセスメント様式は、課題分析標準項目23項目を網羅しており、多くの事業所で参考にされています。

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出典・参考

  • 厚生労働省「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年老企第29号、令和3年3月改正)
  • 厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」第13条

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