居宅サービス計画書の作成手順と注意点

居宅サービス計画書(ケアプラン)の作成は、ケアマネジャーの業務の中核です。インテークから交付・モニタリングまでの一連の流れは、介護保険法で定められた標準的なプロセスに沿って行います。全国には191,892件を超える介護サービス事業所があり、ケアマネはその中から利用者に最適な組み合わせを選び、ケアプランに落とし込みます。

本記事では、居宅サービス計画書の作成手順を段階ごとに整理し、各段階で押さえておくべき注意点・実地指導でのチェックポイントを実務目線で解説します。

居宅サービス計画書作成の全体フロー

ケアプラン作成は、以下の7段階で進みます。

  1. インテーク(相談受付)
  2. 契約
  3. アセスメント(課題分析)
  4. ケアプラン原案の作成
  5. サービス担当者会議
  6. 利用者への説明・同意・交付
  7. サービス実施とモニタリング

これらは一度で完結するのではなく、モニタリングの結果を受けてアセスメント→原案作成→担会→交付のサイクルを繰り返します。

ステップ1:インテーク(相談受付)

相談受付の経路

  • 利用者・家族からの直接相談
  • 地域包括支援センターからの紹介
  • 医療機関からの退院調整依頼
  • 他事業所からの紹介

インテークで確認すること

  • 相談者の基本情報(氏名、連絡先、続柄)
  • 相談内容の概要
  • 要介護認定の有無と区分
  • 現在利用しているサービスの有無
  • 緊急性の判断

緊急性が高いケース(退院直後、介護者の急病など)では、翌日〜数日以内の初回訪問を調整します。

インテーク時の注意点

相談内容は第5表(居宅介護支援経過)に記録します。契約前の段階でも、利用者とのやり取りは記録を残します。

ステップ2:契約

契約前の重要事項説明

契約締結前に、以下の重要事項を利用者に説明します。

  • 事業所の概要(運営主体、所在地、連絡先)
  • サービス提供の方針
  • 秘密保持に関する事項
  • 苦情処理窓口
  • 虐待防止・身体拘束廃止の方針
  • 記録の保存・開示

重要事項説明書を交付し、利用者の同意を得た上で契約書を取り交わします。

契約書類

  • 重要事項説明書(利用者控え、事業所控え)
  • 契約書
  • 個人情報使用同意書
  • 利用者基本情報確認票

契約時の注意点

令和3年度以降、ケアプラン作成関連書類の押印は原則不要となっています。ただし、契約書・重要事項説明書については押印を求める事業所も多いので、自事業所の運用を確認します。

ステップ3:アセスメント(課題分析)

初回アセスメントは居宅訪問で

初回アセスメントは、原則として利用者の居宅を訪問して実施します。これは指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準第13条第7号で定められています。

課題分析標準項目23項目

アセスメントでは、厚生労働省が定める課題分析標準項目23項目を網羅します。23項目の詳細は別記事「アセスメントシート(課題分析標準項目23)の書き方と記入例」で解説しています。

情報収集の範囲

  • 本人の状態(ADL、IADL、認知機能、健康状態)
  • 家族の状況と介護力
  • 住環境
  • 経済状況
  • 主治医からの情報
  • 現在利用しているサービス事業所からの情報

アセスメントの注意点

収集した情報はアセスメントシートに記録し、情報源(本人、家族、主治医など)を明示します。主観と客観を分けて記載することも重要です。

ステップ4:ケアプラン原案の作成

原案作成の流れ

  1. アセスメント結果から生活全般の解決すべき課題(ニーズ)を抽出
  2. 課題ごとに長期目標・短期目標を設定
  3. 目標達成のための援助内容(サービス種別、頻度、担当者)を決定
  4. 週間サービス計画(第3表)を組み立てる
  5. 月単位のサービス利用票(第6表)を作成
  6. 給付費算定(第7表)を行う

原案作成時のポイント

自立支援の視点
課題は「〜できない」ではなく「〜したい」と肯定的に表現し、利用者の意欲を引き出します。

利用者本位の内容
サービスありきではなく、利用者のニーズから逆算してサービスを選びます。

区分支給限度基準額の把握
要介護度ごとに定められた区分支給限度基準額を超える部分は全額自己負担となるため、利用者の経済状況と照らし合わせて調整します。

地域のサービス資源
通所介護、訪問介護、福祉用具貸与など、地域に実在する事業所から選びます。遠隔地の事業所を含めると送迎や担当者会議に支障が出ます。

原案作成の注意点

ケアプラン原案は担当者会議の前に各サービス事業所へ事前配布します。事業所が原案を読み込んでから会議に臨めるよう、少なくとも開催3日前までに配布するのが望ましいです。

ステップ5:サービス担当者会議

担会の開催義務

ケアプラン作成時・変更時・認定更新時・区分変更時には、原則としてサービス担当者会議を開催します。

担会の進行と議事録

担会の進行手順や議事録(第4表)の書き方は、別記事「サービス担当者会議の進め方と議事録テンプレート」で解説しています。

照会対応の条件

やむを得ない理由で担会を開催できず、書面やメールでの意見照会に切り替える場合は、照会の事実と理由を第5表に記録します。照会だけで担会を成立させる場合でも、プロセスの正当性を説明できる記録が必要です。

ステップ6:利用者への説明・同意・交付

説明の流れ

担会で出た意見を踏まえて原案を修正し、完成版のケアプランを利用者・家族に説明します。説明では以下を伝えます。

  • 課題(ニーズ)と目標の内容
  • 利用するサービスの種類・頻度・担当事業所
  • 費用負担の見込み
  • サービス開始後の連絡体制
  • モニタリングの予定

同意の取得

利用者の同意を得た上で、ケアプランに署名をもらいます。令和3年度以降、押印は不要です。同意の事実は第5表に記録します。

交付

同意を得たケアプランは、以下の関係者に交付します。

  • 利用者本人
  • サービス提供事業所(位置付けた全ての事業所)
  • ケアマネ事業所の控え

サービス提供事業所への交付は、サービス開始前までに確実に行います。

交付時の注意点

ケアプランの内容に修正があった場合(軽微な変更を除く)は、担会→同意→交付の流れを再度踏みます。軽微な変更に該当するかどうかは自己判断せず、厚生労働省の通知を確認します。

ステップ7:サービス実施とモニタリング

モニタリングの義務

サービス開始後は、月1回以上の居宅訪問と月1回以上のモニタリング記録の作成が義務付けられています。モニタリングの詳細は別記事「モニタリング記録の書き方とテンプレート」で解説しています。

モニタリング結果の活用

モニタリングの結果、ケアプランの見直しが必要と判断された場合は、アセスメントに立ち返り、再度原案作成→担会→同意→交付のサイクルを実施します。

ケアプラン作成時の頻出ミス

実地指導で指摘されやすいポイントをまとめました。

課題分析標準項目の記載漏れ
アセスメントで23項目の一部が未記入のまま原案作成に進んでいるケース。

目標設定の抽象化
「自立した生活を送る」「元気に過ごす」など、達成度を測定できない目標。

サービス種別と頻度の不整合
第2表の援助内容、第3表の週間計画、第6表の利用票の記載がずれている。

区分支給限度基準額超過の確認不足
限度額を超えるプランで自己負担の説明記録がない。

担当者会議の開催漏れ
認定更新時や区分変更時に担会を開催していない。

利用者同意の記録不足
同意日・同意者の記録がない、または署名のみで経過記録がない。

ケアプラン作成ソフトの活用

多くのケアマネ事業所では、ケアプラン作成ソフト(ほのぼの、ファーストケア、ワイズマン、絆、寿など)を利用しています。ソフトを使うメリットは以下の通りです。

  • 第1表〜第7表の一貫した作成
  • 単位数・給付費の自動計算
  • 過去のケアプランからの複製
  • 第5表(支援経過)の時系列管理
  • 国保連への請求データ出力

ソフトの自動計算に頼りすぎると単位数や加算の根拠を理解しないまま処理してしまうリスクがあるため、算定の基本は把握しておくことが重要です。

関連記事

  • ケアプラン第1表〜第7表の書き方完全ガイド
  • アセスメントシート(課題分析標準項目23)の書き方と記入例
  • サービス担当者会議の進め方と議事録テンプレート
  • モニタリング記録の書き方とテンプレート

出典・参考

  • 厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」
  • 厚生労働省「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年老企第29号、令和3年3月改正)

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