モニタリングは、ケアプランに基づくサービスが適切に実施され、利用者の課題解決につながっているかを定期的に確認する重要な業務です。介護保険法上、ケアマネジャーには月1回以上の居宅訪問と月1回以上のモニタリング記録の作成が義務付けられています。全国には191,892件を超える介護サービス事業所があり、それぞれが連携して利用者を支えていますが、その全体をコーディネートするケアマネの目として、モニタリングは欠かせません。
本記事では、モニタリングの法的根拠・実施手順・記録の書き方を実務目線で解説します。記事末尾からモニタリング記録の月次様式PDFをダウンロードできます。
モニタリングとは
モニタリングとは、ケアプランに位置付けた目標の達成状況や、サービスの実施状況、利用者の状態変化を継続的に把握する業務です。
法的根拠
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準第13条第14号に、以下のように定められています。
介護支援専門員は、第13号に規定する実施状況の把握(以下「モニタリング」という。)に当たっては、利用者及びその家族、指定居宅サービス事業者等との連絡を継続的に行うこととし、特段の事情のない限り、次に定めるところにより行わなければならない。
イ 少なくとも1月に1回、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接すること。
ロ 少なくとも1月に1回、モニタリングの結果を記録すること。
つまり、月1回の居宅訪問・面接と、月1回のモニタリング記録作成の2つがセットで義務となっています。
モニタリングの目的
- ケアプランの目標達成状況の確認
- サービス提供状況の確認
- 利用者の状態変化の把握
- ケアプラン変更の必要性の判断
モニタリングの実施手順
1. 月1回の居宅訪問
原則として利用者の居宅を訪問し、本人と面接します。訪問時には以下を確認します。
- 前回訪問からの状態変化
- ケアプランに位置付けたサービスの利用状況
- 目標の達成状況
- 新たな課題の有無
- サービスへの満足度
- 家族の介護状況
2. サービス事業所への確認
訪問前後に、ケアプランに位置付けた各サービス事業所と連絡を取り、サービス提供状況を確認します。電話・FAX・メールなど連絡手段は問いませんが、記録を残すことが重要です。
3. 記録の作成
収集した情報を基に、モニタリング記録を作成します。記録は第5表(居宅介護支援経過)に時系列で残すか、別様式のモニタリングシートを用いて保存します。
4. ケアプラン見直しの判断
モニタリングの結果、ケアプランの変更が必要と判断される場合は、アセスメント→ケアプラン原案作成→サービス担当者会議→利用者の同意という一連のプロセスを踏みます。
モニタリング訪問の「特段の事情」
基準第13条第14号には「特段の事情のない限り」と書かれており、月1回の居宅訪問を実施できない場合には、その特段の事情を記録に残す必要があります。
特段の事情として認められる例
- 利用者の入院、入所
- 利用者の長期不在(家族宅への長期滞在など)
- 災害などのやむを得ない事情
特段の事情として認められない例
- ケアマネの業務多忙
- 利用者の拒否が曖昧なケース
- 単なる連絡ミス
「忙しかったから訪問できなかった」は特段の事情に該当しません。訪問できなかった場合は、その理由を第5表に詳細に記録し、次月に速やかに訪問します。
モニタリング記録の書き方
記載すべき項目
モニタリング記録に決まった様式はありませんが、少なくとも以下の項目を含めます。
- 訪問日・面接場所
- 面接相手(本人・家族)
- サービスの実施状況
- 目標の達成状況
- 利用者の状態変化
- 新たな課題やニーズ
- ケアプラン変更の要否
- 次回訪問予定日
記入例:通常訪問時
訪問日:2026年4月5日14:00-14:45 自宅
面接相手:本人、長女(同席)
サービス実施状況:
- 訪問介護(週3回):身体介護・生活援助ともに計画通り実施。担当ヘルパーからの申し送りに問題なし。
- 通所介護(週2回):月・木曜ともに休まず利用。送迎時のふらつきは減少傾向。
- 訪問看護(月2回):褥瘡処置継続。看護師からの報告では創部は改善中。
目標達成状況:
- 長期目標「自宅での生活を継続したい」:継続できている。
- 短期目標「週2回入浴する」:通所介護での入浴により達成。自宅入浴は安全性の観点から控えている状況。
状態変化:
前月と比較して大きな変化なし。食欲良好、夜間の不眠の訴えなし。HDS-R検査は医療機関で実施予定。
新たな課題:
長女より「今後自分の仕事復帰を考えており、平日昼間の見守りに不安がある」との発言。家族介護力の低下が予想されるため、デイサービスの利用日数増加を次回担会で検討する方針。
ケアプラン変更の要否:
現時点では変更不要。次回モニタリング時に再評価。
次回訪問予定:2026年5月上旬
記入例:状態変化があったとき
訪問日:2026年4月10日15:00-16:00 自宅
面接相手:本人、長男
サービス実施状況:
- 訪問介護(週3回):予定通り実施
- 通所介護(週2回):先週1回欠席(本人の体調不良)
状態変化:
3月下旬より食欲低下、体重減少2kg(前月56kg→今回54kg)が見られる。長男より「最近元気がなく、夜間のトイレの回数が増えた」との情報。主治医に連絡し、本日午後受診予定。
新たな課題:
- 体重減少・食欲不振の原因精査が必要
- 夜間排尿対応(現在は自立、ふらつきリスクあり)
ケアプラン変更の要否:
主治医の診察結果を踏まえて判断。受診結果を受けて、必要に応じて臨時のサービス担当者会議を開催する方針。
次回訪問予定:受診結果次第で再訪問(来週予定)
モニタリング時の観察ポイント
訪問時には本人の言葉だけでなく、以下の観察ポイントを意識します。
身体状態
- 顔色、表情、言葉の出やすさ
- 歩行の安定性、ふらつき
- 皮膚の状態、浮腫の有無
- 服装の乱れ、清潔感
生活環境
- 居室の整理整頓、清潔さ
- 食事の準備状況
- 転倒リスク(床の物、コード類)
- 室温、換気
家族の様子
- 主介護者の表情、疲労感
- 家族関係の雰囲気
- 介護負担の訴え
コミュニケーション
- 会話の一貫性
- 時間・場所・人の見当識
- 前回訪問時との記憶の連続性
記録にはこれらの観察情報も含めると、利用者の状態がより立体的に伝わります。
実地指導で指摘されやすいポイント
モニタリング関連で実地指導を受けやすいポイントです。
月1回の訪問記録がない
最も基本的な指摘項目です。訪問できなかった月がある場合は、特段の事情を明記します。
モニタリング記録が簡略すぎる
「異常なし」「問題なし」だけの記録は不十分です。サービス実施状況と目標達成状況に触れる必要があります。
目標達成状況への言及がない
ケアプランに記載した目標に対する達成度を評価する記述がない場合、指摘対象となります。
ケアプラン変更時の記録が不明確
変更理由、アセスメントの再実施、担当者会議の開催、利用者同意の流れが追えない場合、指摘されます。
家族の状況の把握が弱い
在宅介護では家族の介護力が大きく影響します。家族状況の記録が乏しいと、包括的なモニタリングができていないと判断されます。
モニタリングと第5表(支援経過)の関係
モニタリング記録は、第5表(居宅介護支援経過)に時系列で統合されることが一般的です。第5表にモニタリングの日時・内容を明記し、必要に応じて別様式のモニタリングシートと併用します。
第5表とモニタリングシートを別々に運用する場合は、両者の整合性を保ちます。片方にだけ記載されている情報があると、記録の信頼性が疑われます。
モニタリング記録様式について
モニタリング記録に決まった様式はありませんが、第5表(居宅介護支援経過)に記録するのが一般的です。第5表の標準様式は厚生労働省が公開しています。
- 居宅サービス計画書標準様式及び記載要領(PDF)- 厚生労働省(第5表 居宅介護支援経過の様式を含む)
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出典・参考
- 厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」第13条第14号
- 厚生労働省「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」