介護施設・介護事業所の種類一覧と選び方ガイド

「介護施設」と一口に言っても、その種類は多岐にわたります。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅——名前は聞いたことがあっても、それぞれの違いを正確に理解している方は少ないのではないでしょうか。

全国には191,891件を超える介護サービス事業所が存在しています。本記事では、介護施設・介護事業所の種類を体系的に整理し、それぞれの特徴・費用・入居条件・向いている方を解説します。

介護保険サービスの3つの区分

介護保険で利用できるサービスは、大きく3つに分類されます。

居宅サービス

利用者が自宅に住みながら利用するサービスです。訪問介護(ホームヘルプ)、通所介護(デイサービス)、短期入所(ショートステイ)、福祉用具貸与、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導などが含まれます。在宅での生活を続けながら必要な支援を受けられるため、多くの要介護者が最初に利用するサービス区分です。

施設サービス

施設に入所して24時間体制で介護を受けるサービスです。特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)、介護老人保健施設、介護医療院の3種類があります。要介護認定を受けた方のみが対象で、要支援の方は利用できません。

地域密着型サービス

市町村が指定権限を持ち、原則としてその市町村に住む方のみが利用できるサービスです。グループホーム(認知症対応型共同生活介護)、小規模多機能型居宅介護、地域密着型通所介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護などが含まれます。2006年に創設された比較的新しいサービス区分で、地域の実情に応じたきめ細かいケアを目指しています。

施設サービスの種類と特徴

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホームは、常時介護を必要とする方が入所して生活する公的性格の強い施設です。全国には8,525件の特養があります。

入居条件

原則として要介護3以上の方が対象です。2015年の介護保険法改正により、新規入所は要介護3以上に限定されました。ただし、やむを得ない事情(認知症で在宅困難、虐待被害など)がある場合は要介護1・2でも入所できる特例があります。

特徴

終身利用が可能で、看取り対応を行う施設も増えています。費用は所得に応じた軽減制度があり、民間施設と比較して抑えめです。一方で待機者が多く、入所まで数か月〜数年かかることも珍しくありません。

費用の目安

月額約5万円〜15万円程度(要介護度・居室タイプ・所得段階により異なる)。多床室は安く、ユニット型個室は高くなります。

向いている方

  • 要介護3以上で常時介護が必要な方
  • 在宅介護が困難な方
  • 費用を抑えたい方
  • 終身利用を希望する方

介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設は、病院と自宅の中間に位置し、リハビリテーションを通じて在宅復帰を目指す施設です。全国には4,116件の老健があります。

入居条件

要介護1以上の方が対象です。病状が安定しており、リハビリによる機能回復・維持が見込める方が適しています。

特徴

常勤医師の配置が義務付けられており、医療体制が充実しています。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士によるリハビリが受けられます。入所期間の目安は3〜6か月で、在宅復帰を前提としています。

費用の目安

月額約8万円〜15万円程度。特養と同様に食費・居住費の軽減制度があります。

向いている方

  • 退院後にリハビリを集中的に受けたい方
  • 在宅復帰を目指す方
  • 医療的ケアも必要な方

介護医療院

2018年に創設された新しい施設類型で、長期的な医療と介護を一体的に提供します。以前の「介護療養型医療施設」の転換先として位置づけられています。

入居条件

要介護1以上で、長期にわたる療養が必要な方が対象です。

特徴

医療機関に近い体制(医師・看護師の手厚い配置)と、生活の場としての機能を両立します。I型(重篤な身体疾患・認知症対応)とII型(比較的安定した方向け)の2タイプがあります。

向いている方

  • 日常的に医療的ケアが必要な方
  • 喀痰吸引、経管栄養、酸素療法などが必要な方

地域密着型サービスの種類と特徴

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

認知症の診断を受けた方が、少人数(1ユニット最大9人)で共同生活を送る施設です。全国には14,156件のグループホームがあります。

入居条件

要支援2または要介護1〜5の認定を受けていること、認知症の診断を受けていること、施設のある市町村に住所があることが条件です。

特徴

家庭的な環境で、調理・洗濯・掃除などの日常生活動作を職員と一緒に行いながら、認知機能の維持を図ります。少人数制のため、個別性の高いケアが可能です。

費用の目安

月額約12万円〜20万円程度(家賃・食費・介護サービス費含む)。

向いている方

  • 認知症と診断された方
  • 家庭的な環境で暮らしたい方
  • 少人数でのケアを希望する方

小規模多機能型居宅介護

「通い」「訪問」「泊まり」の3つのサービスを一つの事業所で柔軟に組み合わせて利用できるサービスです。利用者の状態変化に応じて、同じ事業所・同じ顔なじみの職員からサービスを受けられるのが最大の特徴です。

利用条件

要支援1〜要介護5の方が利用できます。施設のある市町村に住所があることが条件です。

特徴

月額定額制のため、利用回数を増やしても費用が大きく変動しません。急な状態変化にも「今日は泊まり」「明日は訪問」と柔軟に対応できます。一方で、小規模多機能の利用中は他の訪問介護・デイサービスの併用が原則できません。

向いている方

  • 状態が変動しやすい方
  • 一つの事業所で完結したケアを受けたい方
  • 急な泊まりにも対応してほしい方

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

24時間対応の訪問サービスで、1日に複数回の定期的な訪問と、緊急時の随時対応を組み合わせたサービスです。月額定額制で利用できます。

利用条件

要介護1〜5の方が対象です。

特徴

1回の訪問は10〜20分程度と短時間ですが、1日に3〜4回訪問することで、朝の起床介助、昼の服薬確認、夕方の食事準備、夜間の排泄介助などをカバーできます。独居や老老介護の方にとって心強いサービスです。

向いている方

  • 1日に複数回の介助が必要な方
  • 独居で見守りが必要な方
  • 夜間の介助も必要な方

民間施設の種類と特徴

有料老人ホーム

民間事業者が運営する高齢者向けの住まいです。全国には4,467件の有料老人ホームがあります。介護付・住宅型・健康型の3類型があります。

介護付有料老人ホーム

特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設で、施設内の介護職員が直接介護を提供します。24時間体制の介護が受けられ、要介護度が高い方でも安心して生活できます。月額費用は15万円〜30万円以上、入居一時金は0円〜数千万円と施設により大きく異なります。

住宅型有料老人ホーム

介護が必要になった場合は外部の訪問介護・デイサービスなどを利用する形式です。自由度が高く、要介護度や状態に応じてサービスを組み合わせられます。ただし、区分支給限度基準額を超えると全額自己負担になるため、重度化すると費用が増加する傾向があります。

健康型有料老人ホーム

自立した高齢者向けの住まいで、介護が必要になった場合は退去が原則となります。全国的に数は少なく、レジャー性の高い施設が多いです。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

高齢者住まい法に基づく登録制度で、バリアフリー構造の賃貸住宅です。安否確認と生活相談サービスの提供が義務付けられています。介護が必要になった場合は外部の介護保険サービスを利用します。

入居一時金が原則不要で、初期費用を抑えられるのが有料老人ホームとの大きな違いです。月額費用は10万円〜20万円程度が目安です。

在宅サービスの種類と特徴

訪問介護(ホームヘルプ)

ホームヘルパーが自宅を訪問し、身体介護・生活援助を提供します。身体介護は入浴、排泄、食事、更衣、移乗などの直接的な介助。生活援助は掃除、洗濯、調理、買い物代行などの家事支援です。

通所介護(デイサービス)

日帰りで施設に通い、入浴・食事・機能訓練・レクリエーションを受けます。全国には22,815件の通所介護事業所があり、在宅介護を支える最も利用者が多いサービスのひとつです。家族の介護負担軽減(レスパイトケア)としても重要な役割を担っています。

短期入所(ショートステイ)

数日〜1週間程度の短期間、施設に泊まって介護サービスを受けます。家族の休息、冠婚葬祭・出張時の対応、在宅移行の橋渡しなど幅広い用途で利用されます。連続30日までという利用制限があります。

訪問看護

看護師が自宅を訪問し、医療的ケアを提供します。点滴管理、褥瘡処置、カテーテル管理、服薬管理、ターミナルケアなど、医療と介護の橋渡し的な役割を果たします。介護保険と医療保険のどちらでも利用可能です。

訪問リハビリテーション

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が自宅を訪問し、リハビリテーションを提供します。通院が困難な方や、自宅環境に合わせたリハビリが必要な方に適しています。

福祉用具貸与・購入

車椅子、電動ベッド、手すり、歩行器、杖などの福祉用具を月額でレンタルまたは購入するサービスです。要介護度に応じて貸与できる品目が異なります。

介護施設の選び方

ステップ1:本人の状態と希望を確認する

まず本人の要介護度、認知症の有無、医療的ケアの必要性、本人の希望(在宅か施設か)を確認します。「本人がどう暮らしたいか」が最も大切な出発点です。

ステップ2:選択肢を絞り込む

本人の状態と希望に合わせて、施設の種類を絞り込みます。

  • 要介護3以上で長期入所 → 特養、介護付有料老人ホーム
  • リハビリで在宅復帰を目指す → 老健
  • 認知症ケア → グループホーム
  • 軽介護で自由度重視 → サ高住、住宅型有料老人ホーム
  • 在宅継続 → 訪問介護 + デイサービス + ショートステイの組み合わせ
  • 医療依存度が高い → 介護医療院、訪問看護

ステップ3:費用のシミュレーション

施設の種類により費用は大きく異なります。入居一時金、月額費用、介護保険の自己負担、医療費、日用品費など、トータルコストで比較します。

ステップ4:見学と体験利用

候補を3〜5施設に絞ったら、実際に見学します。パンフレットやウェブサイトだけでは分からない「雰囲気」「職員の対応」「入居者の様子」を自分の目で確認します。

ステップ5:ケアマネジャーに相談する

在宅サービスの利用や施設選びでは、ケアマネジャーの知見が非常に有用です。地域の施設事情に精通しており、本人の状態に合った提案を受けられます。

サービス種別ごとの全国事業所数

参考として、サービス種別ごとの全国事業所数ランキングを確認できます。

順位サービス種別施設数
1訪問介護34,803
2居宅介護支援(ケアマネ事業所)30,287
3通所介護(デイサービス)22,815
4訪問看護17,835
5地域密着型通所介護17,348
6グループホーム14,156
7特別養護老人ホーム8,525
8福祉用具貸与6,718
9短期入所生活介護(ショートステイ)6,208
10小規模多機能型居宅介護5,067
11有料老人ホーム4,467
12介護老人保健施設4,116
13訪問リハビリテーション3,690
14介護医療院2,749
15地域密着型特養2,539

在宅サービス(訪問介護、居宅介護支援、通所介護)が上位を占めており、介護保険制度が在宅重視で設計されていることが分かります。

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出典

  • 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」オープンデータ(CC BY 4.0)
  • 厚生労働省「介護保険制度の概要」

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