親の介護が必要になったら|最初にやるべき5つのステップ

ある日突然、親が転倒して骨折した。認知症の兆候が出てきた。入院中の親が退院することになった——介護は多くの場合、予告なく始まります。何から手をつければいいのか分からず戸惑う方が大半です。

本記事では、親の介護が必要になったときに最初にやるべきことを5つのステップで整理し、それぞれの具体的な進め方を解説します。

ステップ1:地域包括支援センターに相談する

介護が必要かもしれないと感じたら、最初に連絡すべきは地域包括支援センターです。

地域包括支援センターとは

地域包括支援センター(略称:包括)は、各市区町村に設置された高齢者の総合相談窓口です。介護・医療・福祉に関するあらゆる相談を無料で受け付けています。

保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーが配置されており、介護保険の申請手続きの案内から、利用できるサービスの提案、ケアマネジャーの紹介まで、ワンストップで対応してもらえます。

見つけ方

  • 「(親の住む市区町村名)地域包括支援センター」で検索
  • 市区町村の役所・福祉課に電話で聞く
  • 親の住所によって担当のセンターが決まっている

相談時に伝えること

  • 親の年齢、住所、現在の状態
  • 具体的に困っていること(転倒が増えた、物忘れが激しい、入浴ができないなど)
  • 同居・別居の家族構成
  • すでに医療機関を受診しているか

電話でも相談できるため、まずは電話で状況を伝えるだけでも大丈夫です。

ステップ2:要介護認定を申請する

介護保険サービスを利用するには、市区町村に要介護認定を申請し、認定を受ける必要があります。

申請の方法

申請は以下のいずれかで行います。

  • 本人が市区町村の窓口に申請書を提出
  • 家族が代行して申請
  • 地域包括支援センターが代行
  • 居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)が代行

必要なものは「介護保険被保険者証」(65歳以上の方に交付済み)と、主治医の情報(医療機関名・医師名)です。

認定調査

申請後、市区町村の認定調査員が親の自宅を訪問し、心身の状態を74項目にわたって調査します。調査日程は事前に連絡があります。

調査日のポイント

  • できれば家族も同席する
  • 普段の状態を正確に伝える(本人は「できる」と見栄を張りがち)
  • 困っていることを具体的にメモしておく

主治医意見書

主治医(かかりつけ医)が介護認定に必要な意見書を作成します。市区町村から主治医に直接依頼されるため、本人・家族が何かする必要はありません。ただし、かかりつけ医がいない場合は、先に医療機関を受診しておく必要があります。

認定結果

申請から約30日で認定結果が届きます。要支援1・2、要介護1〜5のいずれかに判定されるか、「非該当(自立)」となります。

認定結果に不服がある場合は、都道府県の介護保険審査会に不服申立てができます。また、状態が変化した場合は区分変更の申請も可能です。

認定が出るまでの間

申請中でもサービスは利用できます(暫定ケアプラン)。ただし、認定結果が「非該当」になった場合は全額自己負担となるリスクがあるため、ケアマネジャーと相談して慎重に進めます。

ステップ3:ケアマネジャーを決める

要介護認定を受けたら、ケアマネジャー(介護支援専門員)を選びます。ケアマネはケアプラン(介護サービスの利用計画)を作成し、サービス事業所との調整を行う、いわば介護の「司令塔」です。

ケアマネの見つけ方

  • 地域包括支援センターに紹介してもらう(最も一般的)
  • 市区町村の窓口で事業所リストをもらう
  • 知人・友人からの口コミ
  • 介護施設ナビなどのウェブサイトで検索

ケアマネ選びのポイント

経験年数と得意分野

認知症ケアに強いケアマネ、医療連携に強いケアマネ、施設入所の調整に強いケアマネなど、得意分野が異なります。親の状態に合ったケアマネを選びます。

相性

ケアマネとは長い付き合いになります。話しやすさ、レスポンスの速さ、提案力など、人としての相性も大切です。

事業所の場所

親の自宅に近い事業所のケアマネの方が、訪問・相談に対応しやすくなります。

変更は自由

ケアマネは途中で変更できます。合わないと感じたら遠慮なく変更しましょう。地域包括支援センターに相談すれば、別のケアマネを紹介してもらえます。

要支援の場合

要支援1・2の場合は、地域包括支援センターがケアプラン作成を担当するか、包括から委託された居宅介護支援事業所のケアマネが担当します。

ステップ4:ケアプランを作成してサービスを開始する

ケアマネジャーが決まったら、ケアプラン(居宅サービス計画書)を作成し、介護サービスを開始します。

ケアプラン作成の流れ

  1. アセスメント(課題分析):ケアマネが自宅を訪問し、親の心身の状態、生活環境、家族の状況、本人の希望を確認します。
  2. ケアプラン原案の作成:アセスメント結果を基に、利用するサービスの種類・回数・目標を計画します。
  3. サービス担当者会議:ケアマネ、サービス事業所の担当者、本人・家族が集まり、プランの内容を検討します。
  4. 同意と交付:本人・家族の同意を得て、ケアプランを確定し、各事業所に交付します。
  5. サービス開始:計画に基づいてサービスが始まります。

よく利用されるサービスの組み合わせ

要介護1〜2の場合

  • 週2〜3回のデイサービス(入浴・食事・レクリエーション)
  • 週1〜2回の訪問介護(掃除・買い物代行)
  • 福祉用具貸与(手すり、杖など)

要介護3〜4の場合

  • 週4〜5回のデイサービス
  • 毎日の訪問介護(身体介護中心)
  • 週1回の訪問看護(服薬管理・健康チェック)
  • 月1〜2回のショートステイ(家族のレスパイト)
  • 福祉用具貸与(電動ベッド、車椅子など)

ケアプランの見直し

サービス開始後、ケアマネが月1回以上自宅を訪問し、状態の変化やサービスの適合性を確認します(モニタリング)。必要に応じてケアプランを見直し、サービス内容を調整します。

ステップ5:家族の役割分担と介護体制を整える

介護は一人で抱え込むと破綻します。家族間の役割分担と、長期的に持続可能な体制を整えることが重要です。

家族会議を開く

介護が始まったら、できるだけ早いタイミングで家族会議を行います。

  • 誰がキーパーソン(主たる連絡・判断役)になるか
  • 介護費用の分担(年金で足りない分を誰が負担するか)
  • 平日・休日の対応分担
  • 遠方の家族の関わり方(月1回訪問、電話連絡、費用負担など)
  • 施設入所が必要になった場合の方針

仕事との両立

介護離職は避けるべきです。以下の制度を活用して、仕事と介護を両立する方法を検討します。

  • 介護休業(対象家族1人につき通算93日、3回まで分割取得可能)
  • 介護休暇(年5日、半日単位で取得可能)
  • 短時間勤務制度
  • フレックスタイム制度
  • テレワーク

会社の人事部に相談し、利用できる制度を確認します。

介護者自身のケア

介護者の心身の健康も大切です。以下を意識します。

  • 定期的に休息を取る(ショートステイ、デイサービスを活用)
  • 一人で抱え込まない(ケアマネ、地域包括支援センター、家族に相談)
  • 介護者同士の交流(介護者の会、家族会への参加)
  • 自分の体調管理(通院、健康診断)

将来の見通しを持つ

介護は長期間に及ぶことが多いです。現在の在宅介護がいつまで続けられるか、施設入所が必要になるタイミングはいつか、看取りの希望はどうか——将来の見通しをある程度持っておくと、いざという時に慌てません。

緊急時の対応

入院中の親が退院する場合

入院中に要介護認定の申請を行い、退院前に病院のMSW(医療ソーシャルワーカー)とケアマネジャーが連携して退院後のサービスを準備します。退院カンファレンス(退院前の会議)に家族も参加できます。

すぐに介護サービスが必要な場合

要介護認定の結果が出る前でも、暫定ケアプランでサービスを開始できます。地域包括支援センターに「急いでいる」ことを伝えれば、優先的に対応してもらえます。

夜間・休日に困った場合

夜間・休日の急な状態変化には、以下に連絡します。

  • かかりつけ医(夜間対応がある場合)
  • 訪問看護ステーション(24時間対応の場合)
  • 救急車(119番)
  • よりそいホットライン(24時間無料、0120-279-338)

全国の介護施設データ

介護施設ナビでは、全国191,891件の介護施設・事業所を都道府県・市区町村・サービス種別で検索できます。親の住む地域の介護資源を調べる際にご活用ください。

関連記事

  • 介護施設・介護事業所の種類一覧と選び方ガイド
  • 介護費用はいくらかかる?在宅・施設別の自己負担額と軽減制度
  • 施設見学チェックリスト
  • ケアプラン第1表〜第7表の書き方

出典

  • 厚生労働省「介護保険制度の概要」
  • 厚生労働省「介護休業制度の概要」(育児・介護休業法)

コメントする